研究課題/領域番号 |
20390530
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村上 伸也 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (70239490)
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研究分担者 |
山田 聡 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40359849)
橋川 智子 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (00362682)
柳田 学 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (80379081)
安孫子 宣充 日本大学, 歯学部, 教授 (70050086)
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キーワード | 歯周病 / 歯周組織再生 / ポストゲノム / トランスクリプトーム / FGF-2 |
研究概要 |
ビーグル犬歯周病モデルを用いてFGF-2により誘導される歯周組織再生過程における遺伝子発現の網羅的解析を行った。発現変化が2倍以上であった1751個の遺伝子群をその発現パターンから4つのクラスターに分類し、各クラスターの遺伝子リストについてGO term解析を行った。7日目に発現が上昇しその後下降に転じるプロフィールを示すクラスターには炎症性反応に関連するGO termが有意に多く含まれ、7日目に発現が減少しその後上昇に転じるプロフィールを示すクラスターにはタンパク質翻訳に関連するGTP結合タンパクやタンパク質の翻訳促進に関連するGO termが有意に含まれていた。ついで、脂肪組織由来間葉系幹細胞と歯根膜細胞を硬組織形成細胞へと分化誘導した際に共通して発現変動する機能未知遺伝子を解析したところ、NPNT、PLNXC1の発現が石灰化誘導初期に増加しその後減少に転じること、SPON1、TNS3は歯根膜特異的遺伝子であるPLAP-1と同様のパターンで発現が増加し続けることが明らかとなった。一方、PLAP-1にはN末端のアスパラギン酸(D)の連続配列数が個人によって異なるという遺伝子多型が存在し、同遺伝子多型が変形性膝関節症の発症リスクに関係するという報告がなされている。歯根膜細胞への遺伝子導入によりD13型、D14型PLAP-1の機能解析を行ったところ、D13型に比べてD14型PLAP-1を安定発現させた歯根膜細胞において、石灰化物形成やBMP-2誘導性ALP活性が有意に抑制された。さらに、共免疫沈降解析により、D13型に比べてD14型PLAP-1はより強くBMP-2と結合することが明らかとなった。以上のことより、D14型PLAP-1はBMP-2と強く結合することで、BMP-2誘導性の歯根膜細胞の硬組織形成細胞への分化をより強く抑制することが示された。
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