研究概要 |
今年度の研究では,デンタルチップの性能評価を精力的に行ってきたが,再現性および感度の点で十分な成果が得られず,次年度に向けて改善の余地を残した.今年度は,主にAu/Crを積層させたガラス基板に感光性樹脂をコーティングし,あらかじめデザインしたセンサーパターンのマスクを圧着させ,半導体用フォトリソグラフ装置にて紫外線を照射させて微細パターンを作成した.そこでは,電極ならびにウェルの直径は50μm,線幅10μmで,24センサーを10mm四方に配置させる方法で作製し,製品の性能をチェックしてきた.抗原・抗体反応により,ウェルのセンサー電圧が増加するので.このパターンの違いで検体中の炎症性因子を定量的に測定したが,生体材料を測定しようとした時に,バックグラウンドが高くなり,微量測定という点でも改善が必要であることが明らかとなった.そこで,デンタルチップの基板とコーティング剤は変えずに,圧着方法に工夫を凝らし,再現性の高い微量因子の測定可能な形に変えていく予定である. 一方で,歯周病の診断という視点で,有効と思われる抗体を数多く作成し,そのなかで,歯周病細菌,歯周病細菌の病原因子,および,炎症性サイトカインの検出に有効な抗体の作成に成功した. さらに,今年度は,次年度の研究展開を考え,歯周病と心筋梗塞の因果関係に関する研究を行い,患者血清を用いて,梗塞巣の形成におよぼす影響を調べる実験系の立ち上げを開始した.この研究成果を踏まえ,次年度は,調査研究に利用可能かどうかの検証を加える予定である.
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