研究課題/領域番号 |
20390532
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小関 健田 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80291128)
|
研究分担者 |
高橋 信博 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (60183852)
鈴木 治 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (60374948)
田浦 勝彦 東北大学, 病院, 講師 (90005083)
丹田 奈緒子 東北大学, 病院, 助教 (00422121)
齋藤 恵一 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (00178477)
|
キーワード | 安静時唾液 / 刺激唾液 / 口腔内環境 / 脱灰 / 超音波音響石灰化度測定 |
研究概要 |
通常状態で口腔内を満たし口腔環境を規定する安静時唾液と食事時の外界からの飲食物による口腔内環境の外乱に対して生体防御を担う刺激唾液の両方について生化学的機械的性状を検索し、高齢者の口腔内問題の一つとして挙げられる根面齲蝕に対する効果的な予防法を考察した。 口腔内の疾病罹患状況と口腔内環境の関連の検索では、成人節目歯科健診において、う蝕と歯周疾患の罹患状態や残存歯の状態と全身疾患と血液からの生化学的性状に対して、口腔内環境因子である安静時唾液・刺激唾液の唾液流出量・曳糸性・pH・緩衝能・浸透圧・変法RD試験・生化学的性状を詳細に検討した。この中で安静時唾液の変法RD試験結果と曳糸性試験値は正の相関を示し、これまで詳細な検討が為されていなかった口腔内の機械的環境に強く影響する曳糸性に関してもその役割の解明の糸口が開かれた。 さらに、酸負荷時のエナメル質からのカルシウム溶出量測定の実験から、カルシウム溶出量は非破壊的硬組織評価法である超音波音響石灰化度測定値との相関が認められ、本評価法が硬組織表面のステファンカーブの落ち込み時、即ちう蝕発生の直接原因の酸負荷時におけるう窩の形成速度に大きな影響を与える可能性が有ることが示された。また、象牙質の脱灰実験において超音波音響石灰化度測定値と脱灰の進行過程が相関することから、根面う蝕形成の進行の予測において、超音波音響石灰化度測定値が有効である可能性が示された。 以上より、非破壊的硬組織試験である超音波音響石灰化度測定により根面齲蝕のリスク判定への応用と唾液性状でもこれまで評価されなかった口腔内環境を示す指標を用いると根面齲蝕の予防・制御を行う事ができる可能性が示された。
|