研究課題
昨年度は既知のAI-2の構造を参考にして、その化学構造を改変した構造類似体の作製を行った。その中でもAI-2のレポーター株であるVibrio harveyiの発光を抑制するものについて、う蝕細菌であるStreptococcus mutansなどの口腔細菌のバイオフィルム形成能を検討したところ、いくつかのアナログが、S.mutansをはじめとした様々なレンサ球菌のバイオフィルム形成を阻害することが明らかとなった。また、これらのアナログは解析した全てのレンサ球菌のバイオフィルム形成阻害に共通して有効である訳ではなかった。そのアナログと、バイオフィルム形成阻害に有効な菌種との間の関連はまだ明らかにされておらず、現在解析中である。さらに、バイオフィルム形成阻害機構を詳細に解析する目的で、バイオフィルムのマトリクス形成に重要な、グルコシルトランスフェラーゼの発現とアナログによるバイオフィルム形成阻害の関与についても現在解析を継続している。また、これらのアナログがバイオフィルム形成阻害には無効であったが、それ以外の病原性因子発現の制御に関与している可能性があるため、アナログ添加と病原性遺伝子発現との関連について解析を進めている。このように、いくつかのアナログがバイオフィルム形成阻害作用を持つことが明らかとなったが、これらのアナログのバイオフィルム形成阻害における対象および作用機序は異なっていることがこれまでの研究から示唆されており、それぞれのアナログの作用機序について、今後解析を進めていくことが必要であることが判明した。
すべて 2010 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Anaerobe
巻: 16 ページ: 265-269
Biomed Res.
巻: 31 ページ: 21-26
http://www.kenkoyobou.net/college/index.html