研究課題
基盤研究(B)
既知のAI-2の構造を参考にして、その化学構造を改変した構造類似体の作製を行った。AI-2が4,5-dihydroxy-2,3-pentanedioneにホウ素分子が取り込まれたフラン系分子であることより、フラノン誘導体などのアナログを検索し、候補となるアナログを合成した。この際、候補となるアナログの遊離型はAI-2同様不安定であることが予想されるため、AI-2の場合、o-phenylenediamineと結合させ、安定化を図った。このようにして作製されたアンタゴニストの活性阻害能について検討を加えた。海洋の発光細菌であり、AI-2のレポーター株であるVibrio harveyiはAI-2による発光の制御を行うため、V.harveyiの発光量を測定することによりAI-2の量を測定することが可能である。この菌株を用いて、合成したアナログのAI-2活性の阻害能を調べ、阻害活性を有するアナログとして有効であるかについてスクリーニングを行ったところ、いくつかのアナログが候補として挙がった。さらにそれらのアナログについてバイオフィルム形成阻害剤としての有効性を調べるため、う蝕細菌であるStreptococcus mutansなどの口腔細菌のバイオフィルム形成能を検討したところ、いくつかのアナログが、S.mutansをはじめとした様々なレンサ球菌のバイオフィルム形成を阻害することが明らかとなった。また、これらのアナログは解析した全てのレンサ球菌のバイオフィルム形成阻害に共通して有効である訳ではなかった。そのアナログと、バイオフィルム形成阻害に有効な菌種との間の関連はまだ明らかにされておらず、現在解析中である。さらに、バイオフィルム形成阻害機構を詳細に解析する目的で、バイオフィルムのマトリクス形成に重要な、グルコシルトランスフェラーゼの発現とアナログによるバイオフィルム形成阻害の関与についても現在解析を継続している。このように、いくつかのアナログがバイオフィルム形成阻害作用を持つことが明らかとなったが、これらのアナログのバイオフィルム形成阻害における対象および作用機序は異なっていることがこれまでの研究から示唆されており、それぞれのアナログの作用機序について、今後解析を進めていくことが必要であることが判明した。
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