本研究では看護基礎教育から医療施設場面・在宅現場を視野に入れた継続教育まで、一貫性のあるフィジカルアセスメント教育システムの構築の開発を目指すものである。 研究(1)では、教育の現場と臨床の現場の両者が求める看護基礎教育におけるフィジカルアセスメント教育のミニマム・エッセンシャルズを明らかにし、教育内容の検討を目的とする。そのために研究(1)においては、教育の現場で得られたフィジカルアセスメント教育のミニマム・エッセンシャルズを見直し、臨床の現場が看護基礎教育に求める教育内容を明らかにするための質問紙を作成し、臨床の現場が看護基礎教育に求めるミニマム・エッセンシャルズのコンセンサスを得る。臨床の現場でコンセンサスが得られた看護基礎教育に求めるフィジカルアセスメント教育のミニマム・エッセンシャルズを、教育の現場に示し、コンセンサスが得られるかを調査する。 研究(2)では、研究(1)の教育内容について集合教育と個別的教育との有機的連携を図ることにより、学生を対象としたフィジカルアセスメントの集合教育および個別的教育の方法と評価についての標準化とそれらの相乗効果の可能性及び実効性について明らかにする。そこで研究(2)においては、フィジカルアセスメントの教授に関して、集合教育で伝えられる範囲を越えた部分については個別的な教育的関わりを持つことが出来るようにシミュレータを活用したセルフラーニングを行える教育環境ならびにその運用についての整備を行い、学生個人の学習履歴と教育成果の蓄積から個別指導をコーチングできるようなマニュアル作成を進め、どの段階でどのようなアウトカム評価が有効であるかについて明確にする。 研究(3)では、研究(2)の成果を継続教育に活用できるか、訪問看護師のための教育プログラムを開発し、その有効性及び実効性について検証していく。研究(3)においては、訪問看護の現状に合わせた教育内容及び教育方法を検討する必要があるため、まず、現在訪問看護に従事している訪問看護師のインタビューをもとに、訪問看護に必要なフィジカルアセスメント能力を構成する要素とフィジカルアセスメントに影響する因子を明らかにする。インタビューの結果と文献を基に、フィジカルアセスメント教育内容、教育方法及び評価方法について検討し、教育プログラムを作成し、訪問看護に従事している訪問看護師を対象に作成した教育プログラムを提供し、その教育プログラムの実現性及び実効性について明らかにする。 本研究では「何を教育するか」「どのような方法で評価するか」「その評価をどう活かすか」というものを別個にすることなく一本化したものとして進めるために、上記の3つ研究のプロジェクトを連携させ、相互間の関連性の有効性をも見出すことを目指す。それと並行して内外の文献を検討しリソースを集めると同時に、より効果的なフィジカルアセスメント教育の方略を検討し、パイロットスタディの蓄積を行う。最終的には教育の現場と臨床の現場の両者からコンセンサスを得たミニマム・エッセンシャルズを盛り込んだフィジカルアセスメントの教育内容を明らかにする。
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