本研究は、人々にとって遺伝医療がどのような形で進展していけばよいのかを検討する土台にするために、遺伝相談の場で何が起きているのか、その実態分析を踏まえて、質の高い遺伝相談の方法論と医療者の学習支援の方法を検討することを目的としている。 昨年2月に当該医療機関の研究倫理審査委員会の承認を得たので、3月より調査を開始し、2年目の本年は、引き続きA遺伝子診療科において行われている出生前診断(羊水検査)の相談に関わるクライエントと医療者双方に対し、相談後にそれぞれの立場で評価アンケートを実施し、そのうち協力の得られたクライエントとその相談を担当した医療者にインタビューを実施した。アンケート調査は2月末現在クライエント60枚、医療者120枚回収できており、インタビューは、クライエント4名、相談に実際に関わった医療者に実施したが、次年度も引き続き2名のインタビューを予定している。アンケート調査は次年度も引き続き実施予定であるが、中間の解析を順次進めており、即解決できるような問題は遺伝子診療科に提案した。当該医療機関との協力体制があるため、相談の質を良くするための研究成果の活用がスムーズにできることは本研究の利点である。インタビュー結果の解析は次年度に事例作成に向けて実施する予定であるが、特に医療者対象のインタビューは、時間の経過とともに記憶があいあまいである点が問題となり有効なデータを得るための方法修正の必要があることがわかった。
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