研究課題
本研究は、質の高い遺伝相談の方法論と医療者の学習支援の方法を検討することを目的としており、今年度は以下のことを実施し、成果がそれぞれ得られた。1. 学習教材としての事例作成昨年度出生前診断を受けた妊婦(カップルの場合もあり)へのインタビューの実施を、引き続き今年度も行い計5名(組)に実施することができた。これらの相談に関わった医師・看護師にもインタビューを行い、相談の場で当事者・医療者間に生じたことを分析し、これを元に学習教材としての事例を作成した。インタビューから出生前診断を受けるそれぞれの過程において、当事者がどんな心情でいるのかに焦点を当てて記述し、そうした心情を看護者がどのようにして汲み取ってゆくのかが学習課題となるように作成した。2. 事例を用いたワークショップの開催による学習方略の検討1日(2月19日)のワークショップを開催した。11名の出生前診断を受ける人への対応経験のある助産師が参加した。事例から当事者の気持ちの読み解き、対応の検討後、ロールプレイを実施し、フォーカスグループインタビューによりその評価を行った。事例の読み解きの過程では、参加者の経験が討議の場に次々と持ちだされ、それに触発されて多角的に当事者たちの心情理解が深められた。対応に関して討議したが、実際のロールプレイでは、その通りに演ずることはできないことを身をもって体験できた。しかし、うまく演じることが重要ではなく、当事者の心情をどれだけ深く、当事者体験として汲み取れるかが重要である。参加者の経験は学習の質を高める重要な要素であった。次年度フォローアップワークショップを計画しており、学習方略をさらに詰める予定である。3. 紙上事例を、ドラマ化して視聴することで学習効果がどのように変化するか検証するため、事例のDVDを試作した。次年度完成をさせ、フォローアップワークショップに使用予定である。
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