研究課題/領域番号 |
20390553
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
山勢 博彰 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90279357)
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研究分担者 |
山勢 善江 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (30279351)
立野 淳子 山口大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90403667)
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キーワード | 重篤・救急看護学 / 家族ニーズ / 家族看護 / 遺族ケア |
研究概要 |
前年度からの調査を継続し、家族ニーズを満たすために行っている家族看護実践の実際を看護師へのインタビューによって調査した。その結果、患者の病期において実践している家族ケアの特徴が異なり、「入院初期」、「治療期」、「退院・転院期」に分けることができた。ケアには、222件の看護の実際があり、これらには、情報、確認、安全・安寧、社会的サポート、情緒的サポート、予期悲嘆、保証、調整・管理、接近、ケア参加、指導、説明の12コードが付けられた。この12コードから【情報提供】、【身体的安全安寧の確保】、【心理的危機介入】、【調整】、【接近】、【専門的指導】の6カテゴリーが抽出された。さらに、救急初療では蘇生処置での家族立ち会いに関わる家族ケアの重要性、患者死亡後の家族悲嘆に対する遺族ケアについても明らかになった。 また、救急・重症ケア看護師を対象とした量的調査では、家族ケアには直接的看護実践と、間接的看護実践があり、前者は、「情報提供」、「情緒的サポート」、「家族の保証へのサボート」、後者には、「医療チームによるサポート」、「環境調整」などの実践があることがわかった。 これらの調査結果から、家族ニーズを満たす専門的な看護実践の構造が明確になり、入院初期の初療における家族面会サポート(特に、心肺蘇生処置中のサポート)や、終末期にある患者の家族に対する倫理的配慮とこころのケアの重要性、患者死亡後に悲嘆を示す遺族ケアのあり方などについて多くの示唆も得られた。 上記の調査結果と考察から、標準家族看護モデル(案)を作成した。このモデルは、救急初療室の家族看護から始まり、最初の家族オリエンテーション、集中治療室での家族面会、集中治療室から退室(退院)する時の家族指導までも含む、一貫性のあるモデルで、看護実践項目としては、家族とのコミュニケーション方法、家族ニーズをアセスメントする基本方法、各看護上の問題点に従った標準的看護ケアプラン、実践の評価方法、医療チームにおける役割などを盛り込んだものである。モデル作成にあたっては、米国の重症患者家族に対する標準的家族ケアプログラム(CCFAP)を参考に作成した。このモデルを集中治療室まはた救命救急センターを持つ病院で試験的に導入して実践を試みている。
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