研究課題/領域番号 |
20390554
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研究機関 | 青森県立保健大学 |
研究代表者 |
石鍋 圭子 青森県立保健大学, 健康科学部, 客員教授 (10151391)
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研究分担者 |
藤田 あけみ 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (30347182)
中村 令子 八戸短期大学, 看護学部, 教授 (60227957)
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キーワード | 脳血管障害患者 / 回復期リハビリテーション / ナラティブアプローチ / QOL |
研究概要 |
本研究では、脳血管障害患者に対する看護介入としてナラティブアプローチ(以下NA)前後のQOLの変化を明らかにするとともに、QOL変化に影響する要因を明らかにする。同時に、患者のQOLを高める看護支援としてのNAの有用性を検証することを目的とする。 研究は、以下の3つの側面から実施した。1)患者のQOLを高める看護支援としてのNAの有用性を質的に検討する。結果、患者の物語のテーマは、入・退院時ともにネガティブな物語、入院時のポジティブな物語からネガティブに変化、入・退院時ともにポジティブな物語の3つに分類され、語りの中で患者による体験の客観化の過程がみられた。2)脳血管障害患者に対するNA前後のQOLの変化を、入院時と退院時にSEIQoL-DWによって測定し、量的、質的に分析した。結果、分析対象は、介入群24例、対照群23例であった。SEIQoL値の平均は介入群では入院時55.15±19.92、退院時54.78±25.09で、対照群では入院時50.56±22.31、退院時68.41±18.07であり、対照群の方が入院時に比べ退院時に有意に上昇していた(p<0.05)。質的分析の結果、入院時にはネガティブな物語が退院時にポジティブに変化する事例が、対照群に多くみられた。反対に、独居や退院時に葛藤や目標未達成の事例は介入群に多く、退院時のSEIQoL値が低下していた。これら事例では、退院後の生活イメージの具体化による葛藤が、SEIQoL値に影響したと考えられた。3)調査に協力した看護師を対象に、NAの効果や課題に関する質問紙調査を実施した。結果、NAを用いることで患者の思いに触れることができ、患者・看護師双方の望ましい変化を実感していた。SEIQoLはそれ自体の特性から、患者自身がQOLを高めるカギとなる情報を提供してくれる。看護者は、この情報を適切に活用して支援につなげることが期待される。
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