本研究の3年目は、リンパ浮腫予防教育のシステム作りをした。入院中における予防教育と退院後1カ月における予防教育の2段構えの教育を病棟と外来の連携で作り上げた。予防教育おいても、基礎的な日常生活で日々行うことこれを入院中に実施し、その理解が明らかになったところで、今後習得しておいた方がよいスキルを退院後の外来で行うという体制である。これにより、必要な時期に、必要な知識を提供し、2段階にすることで、その習熟のチェックと新しいスキルの獲得もスムーズになる。この方法は、当大学の方式として、学会発表を行った。 2つ目として、エビデンスレベルの高い予防プログラムの評価を実施する予定であったが、その評価の方法が確立されていなかったため、その評価の方法の検討を行った。その評価の方法として、超音波診断装置を用いてのリンパ浮腫の超音波像による進行度の判定を試みた。まず、健常な女性の下肢の超音波所見を確認し、その特徴と離れていくものをリンパ浮腫学会の国際分類の進行度と比較しながら行い、200枚以上の超音波像を分類し、4つの段階に分類することができた。1.皮下組織の肥厚像2.皮下組織のエコー像の輝度の低下3.皮下線維の断裂から消失4.フリーエコースペイスの出現と敷石上所見の4つの特徴を見出した。これらは、リンパ浮腫の国際分類との比較で、国際部類において進行が悪化していると敷石上所見が見られることが多いことが明らかになった。しかし、統計的有意差は見られなかった。健常者とは明らかに異なる所見が見られることから、このエコー所見と他の客観的評価との組み合わせながら行うことが有益であることが分かった。 この3年間の研究は、ネットワークを作り、人作り、そしてリンパ浮腫の予防教育に力を入れるために予防教育の評価とシステム作りを行ってきた。全体の計画としては、ほぼ目的を達せできたと考える。
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