研究の最終年度に当たり意思決定支援教育プログラムフォローアッププログラムを2011年10月29日に開催した。これは、出生前検査に関する意思決定支援の教育プログラム開催後の8ヶ月後の開催であり、教育プログラムを受けての臨床での活用に関する評価の目的で行った。プログラムは、午前に(1)前回のプログラムに関する成果報告、(2)出生前検査に関する知識提供、(3)インフォームドコンセントについて、午後は、(4)ロールプレイ、(5)フォーカスグループインタビューという1日のプログラムであった。質問紙によるプロセス評価においては、5名から回答が得られた。内容、理解しやすさ、実践への貢献、今後の意欲においては、「そう思う」から「とてもそう思う」という回答であった。プログラムの内容については、医師からの「説明」をクライエントが「理解」して、「納得」した意思決定を可能にするための看護職の役割についての内容を中心としたインフォームドコンセントの講義が、ロールプレイを通して理解が深まったという回答が複数みられた。フォーカスグループインタビューでは、1)第1回(2月)の受講後の経験と、2)今回のフォローアッププログラムの体験についてファシリテーターからのフィードバックを行いながら1時間にわたって実施された。受講後、参加者は様々な場面で「意思決定支援」ツールの活用も行いながら試みていた。「意思決定支援」が楽な気持ちで行えていた。自分の物の見方について変化を実感したり、支援の意味づけができるようになっていた。さらに、意思決定支援を臨床の中で定着させるための方略を考えたり、その普及の必要性を強く感じていた。フォローアッププログラムでは、ロールプレイの体験から、自分の価値観を気付いたり、患者の気持ちの理解が深まる体験をしていた。改めて、意思決定支援が「情報提供」さえ行えばよいというものではないことや、医療者が、患者は、多様な葛藤をもつことを理解することの必要性を認識する機会となっていた。 ロールプレイを如何に効果的にプログラムに盛り込むかを検討しこの後、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウィルス-1型)抗体陽性者への授乳方法に関する意思決定支援プログラムを2回(東京、神戸)において、述べ70名の助産師を対象に実施し、本プログラムの普及を図った。
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