平成20年度は東大阪において2003年時点に在宅で生活していた要介護高齢者5000人を対象に生存予後・要介護度予後を把握した。また2008年11月現在、居宅介護サービスを利用していた要介護高齢者世帯3019件を対象に質問紙調査を実施した(調査期間:2008年11月〜2009年11月)。このうち2062件から回答が得られ回収率は52.6%であった。調査データの入力、集計を進めている段階である。また家族介護者の特徴や縦断的な傾向を把握するため、2003年をべースラインとし、2年後、3年後のデータを用いて、配偶者介護者、子世代介護者のストレスの性差、要介護者の予後、サービス利用状況について分析し、その成果を発表した。在宅介護を継続していた家族介護者の特徴では、配偶者介護においては女性のほうがより重度な要介護者の介護をしており、うつ的症状を訴えやすかった、男性はサポートを得られやすい状況にあった。経年的には、女性は公的サービスや支援を増やすが介護肯定感は下がり、反対に男性では介護提供量を増やし介護を積極的に受容するような変化が認められた。子世代の介護者においては、息子の妻介護者は経済的に恵まれており、伝統的な家督相続と関連した介護役割であることが示唆された。娘介護者は経済的に最も厳しく、また副介護者に頼れない状況にあった。また息子介護者においては抑うつが低く、配偶者介護における夫介護者と同じ傾向が示された。しかし、息子介護者は情緒的支援追求をしない傾向にあり、さらに縦断的な傾向を把握する必要がある。 在宅介護を継続していた介護者の特徴が明らかになってきたが、今後さらに要介護者の入所や入院といった転帰にも着目することや、2008年のデータを用いて6年後の在宅介護の継続状況や家族介護者のストレスや介護提供状況の関連の分析が課題である。
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