多胎児の在胎週数は、双子で平均37週、三つ子で平均34週、四つ子で平均31週と短く、出生体重もそれぞれおよそ2300g、1700g、1400gと低体重である。このように在胎週数が短くかつ低体重で出生する多胎児の発育・発達過程は、単胎児とは異なった点が多く、発育・発達遅滞が多発しており、発達障害に至るケースも少なくない。今年度の研究では、在胎週数が短くかつ低体重で出生する三つ子の体重の発育状況を出生から12歳まで縦断的に調査し、分析を行った。対象は、当研究室で把握している三つ子の母親376人と三つ子1128人である。郵送質問紙法により、調査を行った。分析に用いたデータは、三つ子の身体発育値、在胎週数、性別、母親の出産歴、母親の出産時の年齢、母親の身長・体重等である。これらのデータは、母子健康手帳に記載されたデータならびに学校の健診記録から把握されたデータである。また、三つ子と一般児の体重差を算出するため、文部科学省により提示されている一般児の体重の発育値を分析に用いた。三つ子と一般児の体重差は、12歳になっても10%から17%の差が認められ、三つ子の体重の方が一般児よりも軽いことが明らかとなった。12歳時点での体重差は、男児で-4.75 kg 女児で-6.00 kg認められた。8歳から12歳までの三つ子の体重の発育には、母親の体格(BMI)が最も影響していることが明らかとなった。今後、三つ子の体重の発育が、一般児の発育に追いつくのか否かをさらに解明する必要があると考えられた。 この他の研究として、発育に関連する授乳期の栄養方法の実態について、3か月児健康診査のデータベースを用いて分析した。その結果、出生年が近年になるほど、人工栄養の割合が低くなっていた。これらの栄養方法は、多胎出生、出生体重、母親の妊娠中の喫煙状況、母親の出産時の年齢と有意な関連が認められた。
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