研究概要 |
本年度は、文献検討からセルフネグレクトの全国調査に向けての方法と内容の詳細な検討を行うとともに、アメリカ視察でセルフネグレクト事例への対応の実際のヒアリング調査から、モデル構築への示唆を得た。 1.セルフネグレクト事例の全国調査の方法と内容の検討 文献検討より、セルフネグレクトの定義が各国により統一されていないこと、またこれまでセルフネグレクトの実態調査が全国規模で行われていないことから、全国都道府県の地域包括支援センター約4,000箇所を対象にセルフネグレク事例にかかわる調査を実施することとした。研究方法および内容としては、これまでかかわったセルフネグレクト事例について3事例について詳細に把握のきっかけから事例への対応までを聞くとともに、事例に対応した専門職の困難性と今後の課題についても調査項目に含めることとした。実施の時期については、1年間の事例数を把握するために、来年度に実施することとした。分析方法としては、上記のデータより、日本におけるセルフネグレクトの実態を把握し、対応している専門職の困難性、ネットワーク構築の状況、事例対応の課題等から、事例への介入プログラムと地域ケアシステムモデル構築の課題を明らかにする予定である。 2.アメリカにおけるセルフネグレクト事例への対応の実態の視察調査 セルフネグレクト研究の先駆者であるルイビル大学のオブライエン氏とセルフネグレクトの定義、調査方法、対応の課題について議論し、全国調査に向けて多くの示唆を得た。また、ニューヨークのAPS(Adult Protective Services)を訪問し、活動の実際、専門職の対応の方法とプログラム、対応の困難性についてヒアリングを行った。さらに実際に施設を訪問し、虐待の実態と対応について、特にAPSとの連携の視点からヒアリングを行うことで、日本におけるケアシステムモデル構築の示唆を得た。
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