本研究においては以下の3つの調査指針に基づき、「国立西洋美術館本館」を現用し続ける文化財のプロトタイプとして捉え、この資産を文化遺産として保存活用することを念頭に、ル・コルビュジエ設計による他事例の海外調査と設計史料収集調査を行う。「文化財としての保存」に配慮しつつ「建築本来の機能である美術館としての展示空間」をどう行うかという国立西洋美術館の今後の課題の基礎指針も策定する。この調査を踏まえ、現用し続けるモダン・ムーブメント建築の文化遺産としての保存活用のための体系的な理論を構築することを目的とする。 調査指針 (1)文化財保存及び修復技術に関する研究 (2)史料収集とその整理及びアーカイブ化 (3)文化財活用(展示公開・教育普及)に関する調査 調査対象は、世界遺産候補としてフランス文化省とル・コルビュジエ財団が提出準備を行っている(2007年時点)「ル・コルビュジエ設計による建築及び都市計画」のリスト中のフランス、アルゼンチン、ベルギー、ドイツ、インド、スイスの7カ国に存在する、ル・コルビュジエの設計した建築、都市計画の23作品である。
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