研究課題
ドバイにおけるフィリピン人労働者のアイデンティティ再編を比較検討する上での、研究分担者・協力者の基本的な問題意識を整理した。また、現地調査を通じて研究枠組みを検討し、分析を行うことを目的に、研究活動を実施した。本プロジェクトでは、3回にわたって研究会を京都にて実施した。研究会において、(1)湾岸アラブ諸国やアラブ首長国連邦(UAE)の概要、並びに外国人労働者に関する基本的情報の共有、(2)ドバイおよび湾岸アラブ諸国における外国人労働者の具体的事例、とくに女性出稼ぎ労働者に関する報告、(3)フィリピン映画『ドバイ』における現地イメージの形成と現実の検討、(4)本プロジェクトの方向性の議論、などがなされた。以上の議論を経て、2009年1月から2月にかけてUAEにおいて、細田尚美・石井正子・堀抜功二によってドバイを中心にフィールド調査を実施した。具体的な成果としては、(1)フィリピン人労働者に対する聞き取り調査による就労環境や生活実態の把握、(2)在UAEフィリピン政府関係者に対する聞き取り調査、(3)統計・法律文書などの資料収集、(4)現地研究者との意見交換、(5)学術会議の出席、などである。フィールド調査の成果は、次年度に開催予定の国際ワークショップにて報告する予定である。初年度の活動成果は、次年度のフィリピンおよびドバイにおけるフィールド調査の検討課題を明らかにした。また、ドバイではフィリピン人労働者のおかれた状況を広範囲に調べることができたため、今後、定点観測的な聞き取り調査を実施する基盤ができた。これにより、アイデンティティ再編を具体的に検討することができるだろう。
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