研究課題
本年度は、研究代表者・分担者・協力者それぞれが昨年開始した基礎データの収集と分析を続行するとともに研究枠組みの再検討を行い、来年度の最終報告に向けてドバイにおけるフィリピン人労働者のアイデシティティ再編を比較検討する上での、研究分担者・協力者の基本的な問題意識を整理した。具体的には、4月の本年度第1回研究会において、外国で働くフィリピンメードについての映像を題材とし、専門家らを招いでメードの海外出稼ぎに関する問題群を整理した。8月には、細田、石井、渡邊、堀拔の4人がマニラで海外就労に関係する国家機関(海外雇用庁など)、国際機関(国際移住機構など)、大学・研究機関(スカラブリニ移民センターなど)、NGO(ミグランテ・インターナショナル)などで包括的な情報収集を行うことができた。同時に在マニラの中東向け就労斡旋業者数社において現状を調べたり、フィリピン政府が海外就労者に対して義務付ける渡航前オリエンテーションセミナーにおいて参与観察やアンケート調査を実施したりした。翌月には第2回研究会を開き、これまでにドバイとマニラで行った現地調査の研究成果を公表した。アビナレスは同期間に首都圏において中東でメードとして働いた経験のあるフィリピン女性に対して聞き取り調査を行った。2~3月は、細田、渡邊、堀拔がアラブ首長国連邦で同国の外国人受け入れの制度と実態に関する調査を行った。さらに、3月には、石井が日本に滞在するフィリピン人女性を中心とした外国人をサポートする福岡アジア女性センターを訪問し、家庭内暴力にあった女性への支援活動についてインタビューを行い、中東湾岸諸国の家事労働者に対する暴力への支援活動の在り方と比較を行った。くわえて、本年度全期間を通して、各自、研究成果の報告を口頭ならびに文章で公開している。以上の活動をもとに、来年度はイギリス、日本、アラブ首長国連邦の学会で最終の成果報告を行い、論文としてまとめる。
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