研究課題/領域番号 |
20401010
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
湖中 真哉 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (30275101)
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研究分担者 |
伊藤 一頼 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (00405143)
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キーワード | 難民 / 東アフリカ / セーフティ・ネット / 文化人類学 / 国際法学 / 国内避難民 / フード・セキュリティ / ケニア大統領選後の暴動 |
研究概要 |
本研究は、東アフリカの諸社会を対象として、小規模国内避難民と受け容れ側のホスト地域住民が自発的に形成する地域セーフティ・ネットの実態を記述・分析することを目的とする。サンブル県西部では、2006年4月以降、ポコットとの家畜略奪による紛争が急速に激化し、住民が国内避難民化した。本年度実施した調査の結果明らかになったのは、おもに下記の3点である。(1)ポコットとの紛争以降、サンプルは幾つかのロロラ(lolora)と呼ばれる大規模集落を形成しており、国内避難民化したサンブルもこの大規模集落内に居住している。つまり、ロロラは、脆弱な国家治安維持機構を補完する防衛上の拠点となるばかりではなく、避難民キャンプの機能も兼ね備えている。(2)サンブルのホスト集落では、赤十字が救援物資として配給しなかった水容器や家畜の皮を援助していることが明らかになった。つまり、ホスト集落は、相互扶助によって、国際援助機関がカバーしきれない領域を補完して、最小限の生計の構築を支援している。(3)紛争後、避難民の牧童を雇用することが各所でみられ、謝礼として得られる賃金や家畜によって失った畜群を再構築する道が用意されている。2007年12月末にケニアでは大統領選挙が実施されたが、その後、大規模な暴動が起こり、30万人以上が国内避難民化した。このため、本研究は、大統領選挙の暴動の影響が最も深刻であったリフトヴァレー州の国内避難民を広域に扱うこととし、このための予備調査も実施した。研究成果の一部については2008年12月6日に開催された静岡県立大学CEGLOSと大阪大学GLOCOL共催・一般公開シンポジウム「世界各地の食事情に学ぶフード・セキュリティの未来」において、湖中が「ケニア国内避難民の救援食糧と地域セーフティ・ネット」と題する発表を行い、伊藤がコメントした。
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