研究課題/領域番号 |
20401011
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
西谷 大 国立歴史民俗博物館, 研究部, 准教授 (50218161)
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研究分担者 |
篠原 徹 国立歴史民俗博物館, 研究部, 名誉教授 (80068915)
安室 知 国立歴史民俗博物館, 研究部, 教授 (60220159)
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キーワード | 水田 / 焼畑 / 複合的生業 / 定期市 / 交易 / 所有 / 重層的な自然資源の利用 |
研究概要 |
伝統的な技術でおこなわれてきた農耕は、ある特定の生業に特化するのではなく、農耕、漁撈、狩猟、採集といった生業を複合的におこなうことに特徴があり、これが生態的な環境の多様で持続的な利用につながってきた。本研究では、中国・海南省の五指山地域と、雲南省紅河州金平県者米地域、そして怒江上流の丙中洛の3つの地域をとりあげ、伝統農耕の実践と政府主導による開発、そして自然環境という3者を、動的なシステム(いきすぎた開発と環境の復元力)としてとらえ、その関係性の解明を目的としている。 今年度は、海南島五指山地域の生業戦略の歴史的変遷を、生態学的な調査から明らかにしつつ、植生調査を実施しリモートセンシング衛星データの分析によって空間的に把握することを目的とした。 その結果、棚田、焼畑、狩猟採集といった生業の背景には、共通した自然資源利用の民族的規範が存在することが判明した。第一に個人や村単位が、村境や土地の所有を明確にせず、むしろ曖昧にすることで自然資源を重複しながら利用していた。第二に水田や焼畑といった耕作地でさえも、所有があいまいで放棄すれば誰もが利用可能であった。このことが五指山地域のリー族が自然資源を多様に、しかも持続的な利用を可能にしてきたと考えられる。
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