研究課題/領域番号 |
20401019
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
大西 直樹 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (80152198)
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研究分担者 |
岩切 正一郎 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (60262060)
KRISTEVA Tzvetana 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (80365519)
生駒 夏美 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (60365525)
佐野 好則 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (50295458)
SIMONS Christopher 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (80527143)
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キーワード | リベラルアーツ教育 / 文学研究 / 文学教育 / 一般教養 / 古典 / 文芸 / 創作活動 / 文学理論 |
研究概要 |
総括の年にあたり、研究代表者の大西直樹が、これまでの知見をもとにアメリカの大学を訪問し、5月末にアーマスト大学においてデイヴィッド・ソーフィールド教授、カラマズー大学のデイヴィッド・シュトラウス名誉教授と、リベラルアーツ教育の名門である両大学での文学研究と文学教育の最近の動向について意見を交換した。いかに現代の学生の関心を現代の作品から、関連をつけながら古典的な文学作品への関心につなげ発展させるか。単なる作品の解読だけではなく、朗読や映像、さらには実際の演技などとの組み合わせで、生きた作品の息吹をいかに教室で学生と共有するか、その原点が軽視されては、学生の文学離れを阻止することはできない、という観点を共有した。その後、ポエトリー・リーディングに出席し、現在アメリカを代表する詩人リチャード・ウィルバー教授の自作朗読会を経験したが、こうした文学体験こそ日本の大学に欠けている点であることを再認識した。ボストンではハーヴァード大学、デイヴィッド・ホール教授、オーランド・パターソン教授、さらにボストン大学のアニタ・パターソン教授、クリストファー・リックス教授と会見して忌憚ない意見交換をすることができた。古典的作品の扱い方について、リックス教授がミルトンの作品の重要性を強調していたのは印象的で、単に文学研究のみならず、政治、宗教などのからみで、ミルトンは不可欠の教養であることを再認識した。10月には、卒業生で直木賞作家の高村薫氏、芥川賞作家の奥泉光氏を招待講演者として招き『Possibility of Doing Literature---いかに「文学するか」---シンポジウム「小説家と考える」文学教育』を開催した。大学時代の経験と作家としての活動にどのような接点を持っているのだろうか。文学関係の授業から何を得たのか。作家としてどのような授業が役に立ったのだろうか、といった質問について、核心に迫る問題点を共有した。要点は、大学での文学教育と作家活動は直接には関係をもたないが、直接関係をもたない授業から学んだことが広く役に立っていること、ことに文学理論は特に学生時代勉強しなかったが、作家として役に立つ面が多々あること、などが論じられた。
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