研究課題/領域番号 |
20401024
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
松岡 洋子 岩手大学, 国際交流センター, 准教授 (60344628)
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研究分担者 |
足立 祐子 新潟大学, 国際センター, 准教授 (00313552)
土屋 千尋 帝京大学, 文学部, 教授 (00242389)
西山 教行 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (30313498)
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キーワード | 共通言語 / 多文化社会 / 複言語複文化 / 社会階層 / コミュニケーション / 言語教師養成 / 国際研究連携 / 日本:ドイツ:韓国:フランス:台湾 |
研究概要 |
平成22年度は、これまでの調査研究の中間的まとめとして、フランス、ドイツ、韓国、台湾の移住者と受け入れ社会をめぐる言語政策の変化について学会等で発表を行った。また、フランス、ドイツ、韓国、台湾でそれぞれ調査を継続して最新情報を得るとともに、各国の研究者、行政関係者、教育実践者とのネットワークを構築し、調査内容について研究交流を行った。その結果、現段階の各国の言語政策の特徴として以下のことが明らかになった。 1)外国からの移住者は社会に不可欠なものとして位置付けられるようなり、移住者の社会統合が重要な課題として政策・施策が展開されるように変化した。 2)各国とも移住者に対して受け入れ社会の言語能力の習得を求めるようになった。特に経済的・社会的弱者層に対しては、明確な基準を設定した第二言語習得の義務化、あるいは強い奨励が行われるようになった。これは、受け入れ国の社会コスト増大を避け、移住者の社会統合を促進するために言語教育事業が有効だという各政府の判断によるものである。 3)移住者対象の言語教育施策は歴史が浅く、その成果・事業効果についてはまだ明らかになっていない。しかし、移住者の言語習得を促進させる効果は認められるようになっており、その結果、移住者と受け入れ住民とのコミュニケーションの重要性が認識されるように変化してきた。 4)移住者に対する言語教育の成否は教育現場の教師の質にかかっているが、教育現場では優秀な教師が不足している。移住者対象の第二言語教育者の育成が必要であり、その効果的・実践的な養成方法の研究が急がれる。 各国の研究者・実践者との交流の中で、移住者側の言語教育についてはかなりの知見が得られるが、受け入れ社会側の啓発、教育については異文化理解、異文化コミュニケーション、という概念的なものにとどまっており、最終年度では、双方向的な通言語教育の在り方についても含めて研究交流を行い、多文化社会に必要な言語施策について提言を行う。
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