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2008 年度 実績報告書

西アジア新石器時代における社会システムの崩壊とその再編

研究課題

研究課題/領域番号 20401029
研究機関筑波大学

研究代表者

三宅 裕  筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (60261749)

研究分担者 本郷 一美  総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 准教授 (20303919)
常木 晃  筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (70192648)
松本 建速  東海大学, 文学部, 准教授 (20408058)
丹野 研一  筑波大学, 総合地球環境学研究所, プロジェクト上級研究員 (10419864)
津村 宏臣  同志社大学, 文化情報学部, 准教授 (40376934)
キーワード考古学 / トルコ / 新石器時代
研究概要

本研究の初年度に当たる本年度は、平成20年7月下旬から9月上旬までトルコ共和国において考古学的な発掘調査を実施した。調査対象としたのは、新石器時代の社会システム再編期に当たると考えられる土器新石器時代の遺跡サラット・ジャーミー・ヤヌである。本年度の調査の結果、住居跡、炉跡、埋葬などの遺構が数多く検出され、土器新石器時代の集落構造を把握することが可能となった。その基本的な形は、ピゼと呼ばれる土壁によって構築された建物が独立して配され、その間のオープンスペースに2種類の炉跡が認められるというものであった。建物が廃絶される際に建瘍内部が意図的に埋められ、乳児・幼児の埋葬がまとめて行われたことも明らかになり、この時代の集落のあり方を検討する上で貴重な資料が得られた。また、この地域最古の土器群が検出されたことは特筆すべき成果であったが、先行する先土器新石器時代には数多く認められる威信財的性格をもつ遣物はほとんど出土しないことも明らかになった。これにより、土器新石器時代における集落規模の縮小、公共的建築物の消失、威信財の減少という姿が明確となり、先土器新石器時代的社会システム崩壊後の状況を具体的資料を基に措くことが可能となってきた。その一方で、動物骨の分析からは、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ブタの4種の家畜が既に存在することが確認され、植物遺存体の分析ではムギ類やマメ類などの栽培種が検出された。土器新石器時代の社会が農耕牧畜を基盤とするものであったことが確認されたわけであるが、社会システムの面では逆に衰退しているような状況が窺われ、生業と社会の関係を問い直す必要が出てきたことになる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 西アジアにおける土器の起源を探るトルコ、サラット・ジャーミー・ヤヌ遺跡第4次発掘調査(2008年)2009

    • 著者名/発表者名
      三宅裕
    • 雑誌名

      第16回西アジア発掘調査報告会報告集

      ページ: 40-45

  • [雑誌論文] サラット・ジャーミー・ヤヌ遺跡(トルコ共和国)発掘調査概報:2004-2008年2009

    • 著者名/発表者名
      三宅裕、前田修、田尾誠敏、本郷一美、丹野研一、吉田邦夫
    • 雑誌名

      筑波大学先史学・考古学研究 20号

      ページ: 65-102

  • [雑誌論文] 古代西アジアにおける銅冶金術の歴史2008

    • 著者名/発表者名
      三宅裕
    • 雑誌名

      Journal of MMIJ(資源・素材学会誌) 124号

      ページ: 554-561

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 2006 Yili Diyarbakir Ili, Salat Camii Yani kazisi2008

    • 著者名/発表者名
      Yutaka Miyake
    • 雑誌名

      29. Kazi Sonuclar Toplantisi 3. Cill

      ページ: 211-222

  • [学会発表] Regional Variation in the Late Neolithic: between the North Levant and Upper Mesopotamia2009

    • 著者名/発表者名
      Yutaka Miyake
    • 学会等名
      Interpreting the Late Neolithic of Upper Mesopotamia
    • 発表場所
      ライデン大学(オランダ)
    • 年月日
      2009-03-28
  • [学会発表] 西アジアにおける土器の起源を探る トルコ、サラット・ジャーミー・ヤヌ遣跡第4次発掘調査2009

    • 著者名/発表者名
      三宅裕
    • 学会等名
      平成20年度考古学が語る古代オリエント
    • 発表場所
      サンシャインシディー文化会館(東京)
    • 年月日
      2009-03-14
  • [学会発表] Diyarbakir Ili, Salat Camii Yani Kazisi2008

    • 著者名/発表者名
      Yutaka Miyake
    • 学会等名
      30. Kazi, Arastirma ye Arkeometri Sempozyumu
    • 発表場所
      アンカラ大学言語歴史地理学部(トルコ)
    • 年月日
      2008-05-28

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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