研究課題/領域番号 |
20401033
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
杉本 智俊 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (80338243)
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研究分担者 |
月本 昭男 立教大学, 文学部, 教授 (10147928)
越後屋 朗 同志社大学, 神学部, 教授 (80247791)
牧野 久実 鎌倉女子大学, 児童学部, 准教授 (90212208)
佐藤 育子 日本女子大学, 文学部, 講師 (80459940)
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キーワード | 考古学 / 聖書学 / 一神教研究 |
研究概要 |
本年度の前半は、昨年度計画されながら地震のため延期されていたアスタルテ女神に関する国際カンファレンスIshtar/Astarte/Aphrodite:Transformation of a Goddessの開催準備に当たった(カンファレンス自体は8月25-26日開催)。このカンファレンスは、古代西アジアの代表的な女神で、イスラエルにおける多神教理解においても大きな意味を持つアスタルテ女神に関して、前3千年紀からヘレニズム時代の様々な考古資料、銘文資料から時代と地域における変化を捉えることを主眼として開催された。国内外から11名の研究者が慶應義塾大学に集まり、それぞれの研究発表及び討論を行った。その成果は、各発表を改訂した上、英文研究書として出版する予定である。 また、本年度は本研究課題の最終年であるため、今年度で終結したイスラエル国エン・ゲヴ遺跡の調査の遺物整理に力を入れた。これまでも各年の土器、石器などの整理作業は続けてきたが、本年度は動物骨などの自然遺物や金属製品の分析を行ったほか、最終報告書用の写真撮影なども行った。その成果は、さらなる整理作業、編集作業を加えて、英文で最終報告書として出版される予定である。 エン・ゲヴ遺跡出土遺物のうち、特に、前10世紀の調理場遺構から出土した滑石製印章は、これまで同地域で見つかった印章のうち最大であるだけでなく、生命の木、複数のサソリや四足獣といった複雑な宗教的図像が組み合わされた印面を持っているので、それ自体の分析を行い、当該地域の宗教図像の発達史における位置づけを試みた。これらの図像は、それぞれ豊穣を表す象徴として用いられたことが知られているが、それぞれの意味が時代によってどのように変化したのか、その中でこの印章の占める位置はどこにあるのかを解明した。この研究の成果は、発掘予備報告に載せられている他、研究代表者が『オリエント』誌に単著論文として発表している。今後は、英文による発表を準備している。
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