漢魏時代は、中原国家と北方遊牧民・西方農耕民の社会との交渉が濃密となり、ユーラシア大陸の東西交流が著しく活発化した時期である。秦漢時代の王朝文化が開花、成熟する一方、内蒙古・新疆北部に活躍された遊牧民は、ヨーロッパ東のステップ地帯を原郷とする青銅器文化をもち、シルクロードを通じてオアシス都市国家が栄え、中国北部・朝鮮半島・日本列島にまで少なからぬ影響を及ぼしている。本研究は華北地域における漢魏時代の都城(市)・道路・陵墓に焦点をあて、対象地域の遺跡踏査とGPS測量を行い、帝国都城と地方郡県城址の造営プラン、都市と墳墓の方位・景観の特徴を把握しつつ、中国都市文明像を具体的に描きだすと共に、ユーラシア大陸の東西交流の様相やその推移を実証的に解き明かそうとする。
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