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2011 年度 実績報告書

途上国における砒素汚染と貧困の関係に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20401045
研究機関九州大学

研究代表者

谷 正和  九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 准教授 (60281549)

キーワード砒素汚染 / 政治生態学 / ネパール / バングラデシュ
研究概要

本研究は、アジアの各地で顕在化している地下水砒素汚染を対象として、砒素汚染を単に水資源の環境問題としてのみではなく、汚染地住民の貧困に密接に関係する社会的問題として捉え直し、生活インフラや経済資源が欠乏している途上国の農村部という社会的環境の中で、砒素汚染が住民の生活に及ぼしている影響を、政治経済体制の違うアジアの砒素汚染地の状況を比較しつつ、汚染地の住民から直接聞き取りを行う民族誌的調査を中心とする現地調査によって明らかにすることを目的として実施した。
本研究ではこれまで、バングラデシュ、ネパール、カンボジア、中国において、飲料水源である地下水が砒素に汚染されている地域の村落調査を通して、砒素汚染と住民の生活、貧困の関係の研究を行った。これまでの研究でどの砒素汚染地においても、経済的に貧しい住民がより深刻な被害を受けていることは明らかになった。「貧困」の概念は近年次第により広く捉えられるようになり、国連開発計画は人間開発概念とともに人間貧困概念を提唱している。これらの結果を受けて、平成23年度は研究最終年度に当たるため、このようにより貧困を広くとらえ、人間貧困と砒素汚染の関係を明らかにするための調査分析を行った。調査は、バングラデシュとネパールの砒素汚染地域で実施した。バングラデシュでは、貧困層の患者支援の方法を実証的に分析するため、実際に患者支援を行っている事業と連携し、ジョソール県オバイナゴール郡においてその効果を検証した。ネパールでは、調査対象村を拡大し、13か村について人間貧困の状況におかれているカースト制度最下層の不可触層と砒素中毒の関係に関する調査を実施し、経済的条件を中立化した状態でそのような状況におかれていることと砒素中毒の関係について分析を行った。その結果、不可触層に加えて、テライ地方の先住民であるタルー集団でも、その他の住民と比べて砒素中毒の罹患率が高いことが確認された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] ネパールにおける砒素問題:砒素対策行動とソーシャルキャピタルの分析2011

    • 著者名/発表者名
      伊東美菜子・谷正和
    • 学会等名
      第16回アジア地下水砒素汚染フォーラム
    • 発表場所
      新潟大学
    • 年月日
      2011-11-19
  • [学会発表] 砒素汚染対策のための地域社会の能力向上事業2011

    • 著者名/発表者名
      谷正和
    • 学会等名
      国際開発学会第12回春季大会
    • 発表場所
      JICA研究所
    • 年月日
      2011-06-04

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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