研究課題/領域番号 |
20401047
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研究機関 | 神田外語大学 |
研究代表者 |
奥島 美夏 神田外語大学, 異文化コミュニケーション, 講師 (10337751)
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研究分担者 |
岩井 美佐紀 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (80316819)
林 史樹 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (00364919)
服部 美奈 名古屋大学, 教育学研究科, 准教授 (30298442)
吉田 正紀 日本大学, 国際学部, 教授 (90287574)
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キーワード | インドネシア人 / ベトナム人 / 東アジア / 移住労働 / 国際結婚 / 家事・介護・看護 / 文化人類学 / 社会学 |
研究概要 |
最終年度にあたる本年度は、研究実施計画7項目のうち、(6)送り出し・受け入れ諸国における看護・介護・家事労働者・花嫁の在り方と層間移動と、(7)送り出し・受け入れ諸国における移民支援と社会統合について、現地調査を続行するとともに、研究の総括にむけての議論・意見交換を重ねた。また、労働者と花嫁の受け入れ国での実態をより深く知るため、韓国と台湾で共同現地調査を実施した。 今回の研究調査からは、東アジアで増加する国際結婚の諸相に迫ることができた。これまで現地調査を行った台湾・香港では、移住労働者全般に占める女性の割合が圧倒的に多いため、家事・介護労働者と花嫁の層間移動が頻繁にみられた。また、中国の東南アジア諸国への投資根熱から、留学生・就学生として台湾へ来てそのまま結婚するパターンも多かった。 一方、韓国では製造業系中小企業工場が中心的職場であることから、移住労働者も男性が多く、一般市民との接触も家事・介護と違い相対的に少なくなるために、層間移動が起こりにくい状況にあった。そのぶん宗教(統一教会)や国際結婚斡旋企業への依存度も高く、2000~05年頃までは観光ビザで韓国に入国して結婚する東南アジア女性が急増し、人身場倍的な側面への批判が高まった。2008年に韓国政府は斡旋企業をとりしまる新法を公布して管理下に置くとともに、自治体政府やNGOなどの民間団体に「多文化家族」の支援事業を奨励した。ただし、女性・家族部や法務部、厚生部などの各省庁でそれぞれ助成を出しているため、類似内容の支援が重複したりする問題も起きている。 全体に東南アジア出身の結婚移民にはベトナム人が最も多く、女性の移住労働・生活改善をめざす手段の1つとして、グローバル化時代よりはるか以前から定着している中国の影響があることと、ぢリピンやインドネシアと違い、アジア諸国と陸続きで移動が容易であることなどの要因が考えられる。
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