研究課題
本研究の目的は、ミレニアム開発目標におけるHIV/AIDSを中心とする感染症への具体な対応策を検討する為、アジア新興国及びアジア太平洋地域を4年間にわたり、医療人類学的視点から調査することである。特に、3年目にあたる平成22年度では、成田弘成(研究代表者)は、アジア新興国の担当者としてインドを計7週間、中国を計2週間、太平洋地域のパプアニューギニアを2週間、フィールド調査を積極的に行った。近年、HIV/AIDSのみならず多くの国境を越える感染症が増加しているアジア新興国では、その防止の為の体制作りが急務であり、都市化による近代化の問題に直面する地域の都市部(例、ムンバイやニューデリー、上海)を中心に、グローバル・セキュリティの観点から調査を行った。アジア諸国では近代化にも大きな地域差があり、伝統医療を含めた、地域全体の包括的なイニシアティブが保健医療にも求められると言える。江下優樹(研究分担者)は、前年度同様に、タイに2週間、ラオスに1週間、それぞれ調査した。タイではバンコクのマヒドン大学の協力の下、デング熱患者宅での感染蚊の動態を調べ、またHIV/AIDS感染者の実態調査を実施した。成果発表の為、マヒドン大学からの協力者として来日したR.スリサワット博士は、感染症における国際協力の必要を強調し、継続的な研究を確認した。総括すれば、本年度の調査では、継続的にコミュニティ重視の調査を実施したが、都市化に伴うグローバル・ヘルスおよびセキュリティを新たな政策課題として今後の研究に展開する知見を得たものとなった。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)
桜花学園大学人文学部研究紀要
巻: 第13号 ページ: 87-96
http://www.ohkagakuen-u.ac.jp/tosho/kenkyukiyo/n13/08naritahoka.pdf
日本赤十字豊田看護大学紀要
巻: 第6巻 ページ: 31-37
Amer.J.Trop.Med.Hyg.
巻: 82(4) ページ: 696-704