研究課題
本研究の目的は、ミレニアム開発目標におけるHIV/AIDSを中心とする感染症への具体な対応策を検討する為、アジア新興国及びアジア太平洋地域を4年間にわたり、医療人類学的視点から調査することであった。特に、最終年度にあたる平成23年度では、成田弘成(研究代表者)は、アジア新興国の担当者としてインドを計6週間、中国を計3週間、都市部を中心としたフィールド調査を積極的に行った。近年、HIV/AIDSのみならず多くの国境を越える感染症が増加しているアジア新興国では、その防止の為の体制作りが急務であり、都市化による近代化の問題に直面する地域の都市部(例、ムンバイやコルカタ、上海)を中心に、都市間のマイグレーション(移動)の観点も加えて、グローバル・セキュリティの面から調査を行った。アジア諸国では近代化にも大きな地域差があるが、急速に道路交通や鉄道面での改革も始まり、地域全体の包括的な保健医療対策が課題になっていると言える。江下優樹(研究分担者)は、前年度同様に、タイに2週間、調査した。タイではバンコクのマヒドン大学の協力の下、デング熱患者宅での感染蚊の動態を調べ、RT-LAMP法による調査の有効性を確認した。タイ都市部では、マラリアの流行は減少したものの、デング熱への対処が急務となっており、新しい調査法の確立が望まれている。マヒドン大学との連携作業では、感染症における国際協力(含「南南協力」)の必要性が確認された。総括すれば、本年度の調査でも、継続的にコミュニティ重視の調査を実施したが、都市化に伴うグローバル・ヘルスおよびセキュリティを新たな政策課題として今後の研究に展開する必要性を確認し得たものとなった。
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Journal of Nanomedicine and Nanotechnology
巻: 2 ページ: 105
10.4172/2157-7439.1000105
Journal of Alternative Medicine Research
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