本研究は、フィンランドの不登校児支援についての現地調査を実施し、不登校問題の実態と不登校児支援の実情と課題について、日本での不登校の現状との対比を含め考察・分析することを目的とする。現地調査のフィールドはフィンランドの基礎学校(日本の義務教育/小中学校に相当)であり、4年間の研究を通じて、状態像の総称とされる不登校の多様性と社会的支援の取り組みの選択肢を明らかにする。 平成21年度は、まず4月から7月にかけて、連携者・川中淳子(島根県立大学総合政策学部准教授・臨床心理学)が提供した日本における不登校問題の研究文献を共有した。8月には、連携者・片岡(島根大学准教授・家族社会学)がフィンランドに赴き、タンペレ市において家族と子育て支援を中心とする現地調査(ソーシャルワーカーやタンペレ市子どもオンブズマンらへのイシタビュー)を実施した。9月から11月にかけて、代表者・高橋は、協力者・渡辺久子(慶應義塾大学医学部講師)と、フィンランドのトゥーラ・タンミネン(タンペレ大学医学部教授)およびカイヤ・プーラ(同学准教授)とともに、乳幼児精神保健と子ども家庭支援に関する出版物を刊行した。また、11月には協力者・大谷みどり(島根大学教育学部特任教授)から比較教育学の視点からアメリカでの研究情報について専門的知識の提供を受けた。12月下旬から1月初旬にかけては代表者・高橋と連携者・メルヴィオがフィンランドでのスクール・ソーシャルワークと子ども福祉についての現地調査を行い、研究資料の収集とタンペレ大学ソーシャルワーク研究学科のアイノ・リタラ=コスキネシ博士とヨハンナ・コルピネン博士からの専門的知識の提供を受けた。1月から3月末にかけては、代表者・高橋が今年度を研究資料・情報を整理・総括しつつ、来年度に向けてフィンランド側の研究者たちとの日程調整を行った。
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