本研究は、フィランドの不登校児支援について現地調査を実施し、不登校問題の実態および不登校児支援の実情と課題について、日本での不登校の現状との対比を含め、福祉社会学と臨床心理学を主軸とし家族社会学と政治学を含む学際的なアプローチから考察・分析することを目的とする。現地調査のフィールドはフィンランドの基礎学校(日本の義務教育/小中学校に相当)であり、4年の研究期間で不登校の多様性と社会的な支援の取り組みを明らかにする。本研究の究極の目標は、不登校児支援について、既存の学校コミュニティの組織秩序にいかに子どもを適応させるかという「大人社会の論理」だけではなく、むしろ、子どもたち一人ひとりの個性と資質をよりよく尊重しようとする「学習者第一主義」の視座から再考し、「子どものため社会」の構築のためにはどのような制度改革が必要であるかを探求することである。フィンランドでのフィールド調査から、不登校への早期介入の実践や不登校児とその家族へのよりよい支援のあり方を研究し、日本の不登校児支援の近未来にとって有用な提言を行う。
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