研究課題/領域番号 |
20402008
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鮎京 正訓 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40126826)
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研究分担者 |
宇田川 幸則 名古屋大学, 法政国際教育協力研究センター, 准教授 (80298835)
姜 東局 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (80402387)
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キーワード | 郷約 / 儒教 / 比較法 / 韓国 / 中国 / ベトナム / 伝統法 / 村の自立性 |
研究概要 |
11世紀中国に起源をもつ郷約(きょうやく。村のおきて)が、その後、朝鮮、ベトナムに伝播し、各国で独自の発展をとげていったが、近年、各国の郷約は時代の流れに合わなくなり、郷約は次第に失われた。 しかし、ベトナムでは、ドイモイ(刷新)政策下の1989年以降、郷約の復活という事態が生起した。この現象を解明するため、日本においても、歴史学者、人類学者がベトナムの郷約研究を行ってきたが、本プロジェクトではかつて仁井田陞(中国法制史)が行ったような、郷約の比較研究がもっと推進されるべきであると考え、中国、韓国、ベトナムの比較法的研究プロジェクトに取り組んできた。 本年度の研究の結果明らかになったことは以下のとおりである。第1に、郷約は、歴史の中での社会的文脈によって大きくその性格を変えていくものである、という点を明らかにした。この点は、村の自立性が強調された時代と、中央政府による統制が強化された時代というように、郷約が歴史の中で様々にその性格を変えていくということに着目しながら研究することの重要性と関係している。 第2に、郷約をつくった際の構成メンバーはだれか、そしてリーダーはだれか、という構成員の変化に着目していくことの重要性を明らかにした。例えば、韓国郷約を例にとると、構成メンバーは両班(ヤンバン)だけか、あるいは、非両班の一般の庶民も郷約のメンバーになっているか、という問題の解明は、これも歴史性にかかわる重要なテーマである。 第3には、郷約と儒教の関係性に関する研究視点を明らかにした。一般的に儒教は郷約に大きな影響を与えてきたことはたしかであるが、リーダーの考えにより、郷約の中に、儒教的な教えだけではなく、地域自治の伝統的な考えをどのように取り入れていったのかをめぐる実証的な研究が必要である。
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