研究課題/領域番号 |
20402010
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
谷口 昭 名城大学, 法学部, 教授 (20025159)
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研究分担者 |
松田 恵美子 名城大学, 法学部, 教授 (50278321)
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キーワード | 台湾総督府文書 / 臨時台湾土地調査局 / 明治官僚制 / 東亜の近代法 / デジタルデータベース / 中華民国(台湾) / 文字列検索 |
研究概要 |
21年度に続き、台湾総督府文書のうち、「臨時台湾土地調査局公文類纂」の翻刻を継続し、約35万字の累積を達成した。その成果を紙媒体で公刊するにはいたっていないが、ホームページに掲載することで、デジタルデータとして、より効率的な利用を可能とする準備を整えた。当初から膨大な時間と経費を要する大部の史料集など、書籍の公刊は意図しておらず、IT時代にふさわしい媒体を使用する方針であったからである。これは明治日本が海外に残した、近代古文書としての文字情報を、国内外の学界共通の資産とすることになるものといえる。 その過程では、土地政策を基軸とする台湾の近代化の実相と、土地および旧慣の調査に従事した総督府官員の実像が構築されつつある。ともすれば官員の不正や腐敗が強調されてきた、従来の総督府に対する評価を転換できる可能性を想定している。その際、近代以前の武家官僚制との連続性を意識しながら、外地を媒介とした日本の近代法の展開と明治期官僚制の特質を分析する素材が獲得できたと思う。 なお、年度の前半6月には、台湾大学法律学院陳聡富教授を招いて「土地制度と『近代』」をテーマとして、日台交流国際研究会を名城大学で開催した。同教授は「土地改革の台湾の法発展史上における意味」と題する報告を行い、これをもとに総体的な土地所有権論が議論された。 これを受けて研究代表者は、これまで公文類纂の分析で得られた成果をまとめ、「台湾の近代化と土地法制」と題して、国史館台湾文献館で開催される第5回古文書検討会(23年5月1日)で報告することになった。年度を越えることになるが、その内容は22年度中の成果である。 研究期間は残すところ1年となったが、蓄積された文字データと知見をもとに、最終年度には分担研究者および研究協力者の総力を結集して、文字データの集約と、まだ結実していない論著の完成を図りたい。
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