研究課題/領域番号 |
20402013
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
SHRESTHA M.L 甲南大学, 経営学部, 教授 (90248097)
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研究分担者 |
KNELLER Robert 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (20302797)
山名 美加 関西大学, 法学部, 教授 (50368148)
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キーワード | 遺伝資源 / アジア / 利益配分 / 知的財産権 / 技術移転 / 米国国立衛生研究所(NIH) / 生物多様性条約 / 生物探査(bio-prospecting) |
研究概要 |
本年度は、米国においてはNIH関係者から、近年のNIHの生物探査活動における実態について意見聴取を行うとともに、ABSの厳格な体制作りを進めるインドにおいて、共同研究開発がどのように進展してきているのか(特に2005年度の特許法改正以降)、また、国立研究機関における外資系企業との生物資源をめぐる共同研究の進捗状況を確認するとともに、ASEAN諸国(インドネシア、シンガポール)における生物資源関連の外国企業、研究機関との連携実態について調査を行った。ASEANにおいては、2003年度、東南アジアにおける遺伝資源へのアクセス及び利益の公平な配分をめぐるパートナーシップが提携され、ABS及び技術移転については、共通の認識の下、研究を行っているのが建前ではあり、その枠組みもCBDの精神にも沿ったものであるとされている。そして、個々の契約も、米国NIHモデルとも整合性が取れるものであるということであった。また、2003度には東南アジアABSフォーラムが立ち上げられ、ABSについては、アクションプランも策定されている点、共通のプラットフォーム作りには積極的なスタンスが見受けられる。しかしながら、フィリピンのようにABSに厳格な国がある反面、シンガポールのように、既に探査され、ABS問題も処理された資源を二次的に利用しているような側面が強い国も存在している。一方で、インドネシアという国は、資源の活用にかなりの積極性を示しており、バイオ分野で有名なBogor大学にあっては、大学レベルで会社を台湾企業と合弁で立ち上げて、その資源の活用に具体的に乗り出している。ただし、NIHモデルで提起されている課題については、事例がNIH程多くないこともあり、まだASEANで具体的な検討の対象になっていないことが多いと思われる。なお、研究代表者が関わってきたネパールのABS問題については、2009年2月9日、ネパール科学技術省と九州大学が科学技術交流に関する覚書を締結し、具体的な利益配分についても、方向性を具体化することとなった。
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