(1)韓国では、政権交代と対北朝鮮との関係改善などを踏まえ、建国以来の歴史の見直しが進行し、それが政治的争点となった。本研究は、国家の正統性をめぐる歴史論争を政治学の観点から調査することを目的とした。 (2)過去10年に渡り、「解放3年史」を含む現代史について論争がおこなわれた。政府により、民主化以前の政治弾圧事件の再調査などが進められたことは、現代史論争が始まるひとつの背景であった。 (3)現代史と関連する政府の各種調査の進行に対抗して「ニュー・ライト」と呼ばれるグループを中心に論争が始められた。論争は教科書記述を具体的争点としておこなわれた。 (4)論争と並行して、政府の教科書統制の制度が変更されたことは、論争を促進することになった。 (5)現政権への交代は、現代史と関連する政府の各種調査に影響を及ぼした。
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