現在ポスト冷戦期のグローバリゼーションの中で地域をめぐる区分が流動化し、とりわけ中国が積極的なアジア地域政策を展開し、東アジア・東南アジアの地域構想に大きな変化がもたらされつつあり、冷戦期、旧植民地勢力に代わってアメリカの主導の下に展開されてきた東アジア・東南アジア研究の再検討は、ポスト冷戦期のアジア研究を展望する上でも不可欠であると思われる。本研究は、冷戦期アメリカにおけるアジア研究の動向とアジア地域政策との関係を、フォード財団のアジア研究学術助成を中心に明らかにし、かつそれがもたらした帰結をアジアの側から、また中国の台頭という今日的視点から再吟味することを目的とする。 初年度は予備調査と今後の研究展開のための準備段階と位置付け、以下に関する資料調査、および共同研究準備のための打ち合わせを実施した。 1. 米国における予備資料調査:フォード財団資料室を訪問し、冷戦期の東アジア研究・東南アジア研究への助成方針をめぐる議論と個別助成に関する資料収集を行った。補足資料調査として、1949年から70年代に至る年次報告書を収集し、助成金の分野別、テーマ別、機関別、地域別の規模等に関する資料収集した。さらにミシガン大学を訪問し、同大学における地域研究の展開に関する資料収集を実施した。 2. 冷戦期における東/東南アジア研究関連の博士論文の目録およびアメリカの地域政策、学術政策に関する基礎文献を収集した。博士論文のデータについては整理を進めつつある。 3. 次年度前半にワークショップを実施すべく、台湾、香港、中国における海外研究協力者との打ち合わせを実施した。
|