研究課題
本研究はマレーシア国内において未だ十分な研究が行われていない分野であり、前年に引き続き、実態を正確に把握するため、マレーシア地場企業での詳細なヒアリングを実施した。今回は北部のペナン地区を中心に8社の協力を得ることができた。米国系多国籍企業が多い地区であり、これらの多国籍企業が地場企業の育成と海外進出に関与するケースが多くみられた。特に半導体メーカーによる地場企業の育成はこれら企業の経営資源の蓄積に多大な影響を与えたといえる。理論的にはこれらはフラッグシップ・モデルもしくは擬似内部化理論を用いて説明することができる。東アジア、特にマレーシアにとってはASEANの経済統合とFTAを通じた中国との経済関係の強化が地場企業の海外進出に大きな影響を与えると考えられる。これについては、企業特性などにより相違がみられるが、多くの企業からポジティブな見解が得られた。しかしながら、企業の発展レベルからして海外展開を企業戦略の中心に据える製造業企業は少なく、経済統合の利益を十分には得ていないという事実も観察された。経済統合と発展途上国企業の多国籍化についての理論面からの研究については現地の研究協力者であるマラヤ大学のAslam博士とともに進めている。現段階では経済統合が外部からの直接投資を引きつけることが明らかとなった。これについては博士を小樽商科大学に招き、ワークショップを開催し、学内外の研究者と議論を深めた。引き続き、経済統合が域内での直接投資を増大させるか否かについて産業分類をした上での検討に着手した。本研究はペナン地区の政府系機関やマレーシア工業開発庁も関心を寄せており、これら機関との連携により、研究成果の地元への還元も進んでいる。
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『商学討究』(小樽商科大学) 60巻4号
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Economic Journal of Hokkaido University Vol.38
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『社会科学研究』(東京大学社会科学研究所) 61巻1号
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Legal Vision of Future East Asian Regionalism(Chapter 1 : East Asian Regional Economic Cooperation and FTA)(Routledge)
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