本研究は、近年成長の著しい新興国、特にインドと中国の2国を取り上げ、知識集約型産業クラスターの発展パターンと競争力構築戦略に関する国際共同研究を行うことを目的としている。2大途上国であるインド、中国の2国は、合わせて24億の人口を抱え、途上国全体の動向を左右するのみならず、グローバル経済全体の動向にも大きな影響力を持ちつつある。これら2国は、いずれも、急速に知識経済(knowledge-based economy)化を進めており、イノベーション推進と技術力構築、さらに自国産業の高度化と国際競争力の強化を図るとともに、知識集約型産業クラスターの育成に努めてきた。本研究では、これまでの研究を発展させ、インドと中国のITおよび自動車産業クラスターに焦点を当て、産業クラスターの形成と発展パターンに関する比較研究を国際共同研究として実施する。特に、これら2国における代表的なITクラスター(グルガオン、プネ、チェンナイ、天津、上海)を事例にとり、(1)クラスター形成・発展の要因、(2)クラスターの内部構造とパフォーマンス、(3)地域労働市場の構造と技術者の質、及び技能形成パターン、(4)国際分業における位置づけ、(5)競争力構築戦略、(6)クラスター発展における政府の役割、の6点に焦点を当て、2国x2セクターの比較分析を行う。 第1年度である平成20年度には、インド・バンガロールと中国・北京を訪問し、フィールド調査を行い、上記(1)、(2)についてデータ収集及び聞き取り調査を行った。その他、H20年10月に国際会議「Globalization of Knowledge Development and Delivery」(デリー開催)に出席し、バンガロールのソフトウェア産業クラスターに関する論文を発表した。
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