研究概要 |
本研究は、中国における市場経済発展の過程において社会経済がどのように変動しているか、大衆消費社会がどのように形成されているか等について、経済水準の格差が拡大しつつある都市と農村で消費者の生活や意識行動の調査を行い、中国における大衆消費社会の成立プロセスを解明するための3年間の研究である。 今年度は最終年度であり、前年度の研究調査に続き、研究計画のとおりに、まずランダムに選定された経済力水準の異なる遼寧省鞍山市、都市化が急速に進んでいる農村地域(河北省らん平県、湖南省、四川省の農村部)において、2010年10月から2011年3月まで各地域200部、計800のアンケート調査を実施した。これと同時に今年度は初年度、前年度の調査データの解析に基づき、幾つかの研究論文をまとめることができた。それらは、アメリカの消費者研究学会ACCI (2010 American Council on Consumer Interests, Atlanta, GA)と17th IGWT Symposium&2010 International Conference on Commerce, 2010 SMA (Society for Marketing Advances, Atlanta)の国際学会で公表したほか、「中国の大衆消費社会研究」などの研究会の開催や、アメリカのスタンフォード大学経済学部の応用経済学の講座で発表した。研究論文は国際ジャーナルSpringer、Journal of Family and Economic Issuesや国内の専門雑誌『東亜経済研究』『山口経済研究』などに掲載した。現在はこれまでに行ってきた都市・農村地域での調査データの集計や解析を行っており、『中国の消費社会の変遷』と題する専門書の編集・出版をはじめ、より多くの研究成果を出すことを予定しており、今後研究を一層前進させていくことができると確信している。
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