研究課題/領域番号 |
20402024
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
堀林 巧 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (70143873)
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研究分担者 |
溝端 佐登史 京都大学, 経済研究所, 教授 (30239264)
ヤルナゾフ ディミター 京都大学, 経済学研究科, 講師 (80311661)
中屋 信彦 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (20325559)
林 裕明 島根県立大学, 総合政策学部, 准教授 (30336903)
野村 真理 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (20164741)
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キーワード | 国家社会主義 / 市場経済化 / 旧ソ連・東欧 / 中国 / 国家の市場経済化戦略 / 国家の制御能力 / 進化 / 多様性 |
研究概要 |
中国、旧ソ連・東欧諸国の国家社会主義(中央集権的計画経済)からの離脱・市場経済化を国家戦略・制御能力の観点から比較研究するという本研究課題遂行のため、研究代表者及び研究分担者のほとんどが、上記対象国で調査を実施するか、外国において対象国経済に関わる学術報告を行った。2008年秋以後の国際金融経済危機は上記諸国にも波及したが、経済的打撃の規模と危機対処のあり方にはこれまでの当諸国の国家社会主義からの離脱・市場経済化のあり方と国家戦略・制御能力の相違が反映されていることが2009年度の研究を通じて明らかとなった。 中屋と金岡の中国の主要産業と金融部門の調査研究からは、中国における国家の「管制高地」(主要産業、金融)に対する制御は強力であり、それが世界経済収縮のなかでの同国の内需転換と迅速な成長ペース回復を可能にしたことが明らかになった。ロシア経済社会の研究を継続している溝端・林の研究からは、2000年代以後ロシアは資源産業への国家関与を強め資源輸出を中心に成長を遂げたものの製造業の国内的基盤・内需とも弱く、そのことがBRICsのなかでロシアの経済回復が最も遅いことの要因であることが明らかになった。堀林とヤルナゾフの旧東欧研究からは、旧東欧のほとんどの国で「外資支配」状況があり、それが先進国金融危機の同地域への波及要因となったことが明らかになっている。また、ハンガリーなど外資系企業を中心とする輸出主導型発展を国家戦略としてきた国では、欧州市場縮小が同国経済悪化の要因となっていること、輸出依存度が相対的に低いポーランドの2009年の成長率はプラスであったこと、金融部門・製造業を問わず外資導入に慎重であったスロヴェニアの経済悪化の度合いはハンガリー、スロヴァキアほどひどくなかったことが明らかになっている。 以上が、本研究課題に関して明らかになっている事柄の要旨である。
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