研究概要 |
昨年は、一昨年と同様、4年計画の研究の中で、海外で、現地の研究協力者やその研究仲間の支援により、充実した現地調査が一つの柱となった。 カナダのオンタリオ州で、トロント、オタワを中心に、Brownのアレンジで、インタビューと調査票回答依頼をおこなった。特にインタビューでは、これまでなかなか、諸事情で面談が出来なかった病院のCEO以外の方々で、医療関係機関で必ずインタビューすべき人、例えば、BSCでKaplanらの書籍の事例に度々登場するCanadian Blood ServiceのCEOなどのインタビューを行うことができた。さらに、先方の時間をたっぷり取って頂き議論ができたので、時間に追われない内容のある調査となった。また、バンクーバーを中心としたブリテッシュ・コロンビア州の病院への追加質問等をおこなった。台湾では、台湾健康産業BSC学会の陳進堂会長(為恭記念病院院長)や台湾大学の楊銘欽准教授らの支援で、台湾の病院で10病院インタビューと調査票をお願いした。この結果を入力まですませた。さらに、特に高橋、小出、劉の研究分担者3人で昨年12月に台湾でおこなった調査は、これまでにない充実した内容があり、特に国立台湾大学病院本院の2,000床を超える高機能病院でのBSC、および馬皆病院での自殺予防プログラムでのBSCの利用に関する事例報告は、世界で初めての利用と成果であり、本研究の医療政策、医療リテラシー、地域社会でのBSCを考えるあたり、大きなインパクトと新しい視点として重要な研究に触れることができた。 上記を行いながら、一昨年の調査をもとに、高橋淑郎編著『医療バランスト・スコアカード研究 経営編』生産性出版の書籍で、「戦略実践のフレームワークとしてのBSC」(高橋淑郎、pp.1-57.)および「医療政策としてのカナダ・オンタリオ州のBSC」(高橋淑郎、Brown,Adalsteinn.D.,Lemieux-Charles Louise、pp.295-340.)。「日本の病院におけるBSCの利用成果に関する実証的分析」(高橋淑郎、北村世都、青木武典、pp.371-398.)、「為恭記念医院(台湾)のBSC導入事例」(劉慕和、pp.341-356.)として書籍で発表した。
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