研究課題
基盤研究(B)
本研究は世界人口70億人、内13.5億人を超える人口超大国・隣国の中国人口問題についての社会学的実証調査研究である。特に国策として位置づけられている"人口と環境"問題について、今回は、高齢化・社会保障・出生性比の視点から多角的なアプローチを行ってきた。中国は1979年世界が驚く1組の夫婦に子供1人を提唱するといういわゆる"一人っ子政策"を開始し、奨励や罰金制度の導入と平行しつつ厳しい国策を32年間も続けてきている。人口の抑制は、"痛みを伴うけれども最大の環境対策"であるともいわれ、中国の高度経済成長を推進する力(人口ボーナス期にも重なり)ともなったが、他方で急速な高齢化が、とりわけ2030年以降に進行することが必至であると予測されている。さらには、農村ではなお社会保障改革が不整備のままでかつ追いつかず、都市と農村および地域の格差を伴いつつ大きな国家的負担となっている。また、男尊女卑、老親扶養、あとつぎのための男児を欲するという出生性比の不均衡問題が大きな影をおとしている。広大な中国にあって、都市(上海市、北京市)、農村(湖南、海南、内モンゴル)の5地区で本格的社会学的サンプリング調査、量的・質的調査をこれまでに行い、その問題点を総合的にあぶりだすことに成功したと思っている。最終年度の2011(平成23)年度には、その理論的・実証的な比較と総括をまとめあげることを目標としている。また、日本との比較や東アジア論の中の位置づけも射程にいれつつ結論を導き、中国の人口問題の社会学的研究の最新結果の公表・刊行を行う覚悟である。
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中国家庭研究(上海社会科学院家庭研究中心編、中文) 第5巻
日中仕会学研究(日中社会学会) 18号
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日本国際問題研究所『国際問題』2010年7・8月合併号,焦点:深刻化する世界の人口問題 第593号
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