研究課題/領域番号 |
20402039
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
秋庭 裕 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (40222533)
|
研究分担者 |
川端 亮 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (00214677)
稲場 圭信 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (30362750)
|
キーワード | SGI / アメリカ合衆国 / 日本型新宗教 / 生きた翻訳 / 2段階の適応(現地化) / 日蓮 |
研究概要 |
過去2年間の本調査研究の蓄積をふまえ、6月「宗教と社会」学会のテーマセッションにおいて「今日のSGI-USA」と題しパネル報告を行った。川端報告「アメリカSGIの歴史と現在-適応のプロセス」。稲場報告「信者の回心過程-アメリカ社会のエートスとsoka spirit」。秋庭報告「日蓮の21世紀-グローバリゼーション時代における」の3報告。この報告において、日本型新宗教の異文化への2段階の適応モデルを提唱した。 実査は、5月ハワイ・ホノルルにおいて海外布教最初期の組織と入信者の状況を再調査した。その結果、昨年までの米本土、ロサンゼルス・シカゴ・ニューヨークでの調査結果と照らすと、日本人と日系人の多寡、および日本語や日本文化の浸透度に応じて、日本型新宗教の受容のパターンに相違が生じたことが確認できた。 9月ロサンゼルスの本部のアーカイブでSGIの発行した経典類、雑誌、新聞、書籍を調査した。文化の翻訳として、宗教教義の「生きた翻訳」がいかに行われたかを資料によって跡づけた。 ここまでの調査とそこで得たデータを検討した結果、日本型新宗教の典型としてのSGI-USAにおける2段階のアメリカ化ということを指摘することができる。1段階目は、ともかく「海を越える」ことが重要であるが、2段階目としての真の意味の現地化、つまり機械的な「翻訳」ではなく、「生きた翻訳」としての文化の翻訳に成功しないかぎり、宗教は異文化へ適応できないだろうという仮説である。 また9月には、マイアミにおいても予備的調査を実施し、バイブル・ベルトにおけるSGI-USAの展開について、本格的な調査を実施する必要を感じた。つまり、ファンダメンタンルな傾向性の強いキリスト教と日本型新宗教の本格的な接触についての事例は貴重であるからである。
|