本研究の主たる目的は現代社会学を代表する研究者の一人であるピエール・ブルデューの社会学的知見を背景に、日系ブラジル人社会における再生産構造について現地調査を下に分析してゆくことである。ブルデューが晩年に試みた、複雑化する社会の中でみえにくくなっている他者の苦悩に対する「理解」の回路を開く「社会分析(Socio-Analyse)」を現地調査に取り入れることで、日系コロニアへの共感的理解が可能となるような研究を試みる。質問紙を用いた調査によって基本的な項目を把握した上で、インタビュー調査に臨みむと同時に、対象者に対する「象徴的暴力」を調停しうるような調査に努めたい。ブラジル社会において中間層を形成している日系人の文化資本の伝承がどのようなものであるのかを分析してゆく。
|