初年度に実施した基礎的資料収集および「介護問題」に伴う調査研究を分析・考察した結果を踏まえ、ベトナムにおいて実態調査を実施した。調査内容『独居高齢者の生活実態調査』都市部:ホーチミン市30世帯、農村部:ビントゥアン(Binh Thuan)省ハム・タン(Ham Tan)県ラジ(La Gi)町30世帯合計60世帯(2009年9月11日-18日生田目学文・赤塚俊治・後藤美恵子)。 これに基づき「要介護高齢者の効果的な理解」と「介護福祉教育」の実施方法について、以下の分析・考察を行った。(1)高齢者施設の利用者の状態像と介護内容および介護の困難性についての調査、および介護職員の高齢者イメージ、介護肯定感、組織特性、仕事満足度等が介護の困難性を伴うか否かについての分析。(2)(1)の結果が利用者のQOLにどのように影響しているかについての分析。(3)(2)の結果を踏まえ、ベトナムの介護福祉教育の実施方法についての分析。(4)高齢者施設における利用者のQOLに及ぼす要因について質問紙による聞き取り調査、参与観察。(5)「都市部」と「農村部」で生活しているケース研究の対象者の高齢者から質問紙による聞き取り調査を行い、前年度と比較し、高齢期における生活課題、および生活支援の条件について分析した。(6)(5)の結果を踏まえて、施設職員が抱えている諸問題などを調査し、それが介護職員および利用者にどのような影響を与えているかを分析した。(7)これまでの調査研究を踏まえた上での、ベトナムの介護福祉教育の実施方法の考察。(8)それに関連し世代間の高齢者介護に関する意識調査の分析。(9)「介護問題」を取り扱う上で基本的な概念である「人間福祉と人間の安全保障」について分析。上述した調査分析内容から、最終年度の研究に繋がる研究成果をまとめた。
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