本年度においては、本研究の目的および研究実施計画に従い、以下のような研究活動を行い、研究実績を得ることができた。 1、文献資料の収集 (1) 必要な関連図書を購入した。また、必要な学術雑誌を購読している。 (2) 日本と中国の研究機関や図書館を訪れて必要な文献資料を調査、入手した。 2、聞き取り調査の実施 (1) 本研究調査に直接関わる行政機関、社会保険取扱機関、住民自治組織等を訪れ、インタビューを行った。 (2) 農村部の重病患者およびその家族を訪問し、医療保険給付、医療費自己負担の状況を調査した。 3、アンケート調査の実施 (1) 農村部の医療機関(衛生院、診療所)にアンケート用紙を配り調査した。 (2) 農村住民を対象にアンケート調査を行った。 4、研究成果(一部)のまとめ・公表 (1) 学会で口頭発表を行った。 (2) 論文をまとめて公表した。 (3) 著書を出版した。同著書は『現代中国社会保障事典』というタイトルで、単著として集広舎から出版された。同著書は日本語で書かれており、日本や中国、さらに世界でも中国社会保障制度に関する初の事典である。その主な特徴として、まず現行の中国社会保障制度を全面的かつ体系的に紹介している点である。第二は、専門性が高く、内容も極めて複雑な諸制度について専門外の一般人にも分かりやすいように解説していることである。第三は、日本人の実務家や日本企業のニーズに応える形で、現行の中国社会保障制度に関連する法規法律や公文書を最大限に網羅し和訳して各章の最後に附録している点である。同著書の中には、現在進行中の文部科学省科学研究費補助金助成の「中国の農村地域公的医療保険制度に関する基礎的研究」で得られている成果も多く盛り込まれている。
|