研究課題
本年度の研究実績は以下の通りである。1.環境計画への市民参加事例としてのノイス市交通計画に関するアンケート調査の実施前年度に聴き取り調査を行ったノイス市の交通計画の事例を対象として、18歳以上の市民全体から無作為抽出した3000人を対象にしたアンケート調査を郵送法によって実施した。あわせて交通計画の利害関係者としての団体に対しても、別途調査を依頼して実施した。市内のトラムの撤去の是非をめぐる係争的事例において、市が妥協案として提案した市中心部の単線化事業に対する市民の社会的受容は、計画によって期待される効果評価だけでなく、計画策定における市民参加手続きの公正さ評価であることを確認した。さらに交通計画によって期待される効果に関する行政と市民との意見の類似性や行政への信頼も計画の社会的受容に関連することも解明した。環境計画への行政や市民の間での意見対立が激しい係争的な事例においても、市民が計画を受容するか否かを判断する場合に、計画に関する行政との意見の類似性、つまり私益への関心だけでなく、計画を実施するときの公正な手続き、つまり共益への関心も考慮されるという仮説を支持する調査結果を得た。2.参加手続きの公正さや意見の類似性が計画の受容に及ぼす効果に関するシナリオ実験の実施ドイツ(ノイス市事例)や日本(吉野川可動堰事例)での調査結果にもとづいて、その要因連関を解明するためのシナリオ実験を、オランダの共同研究者とともに実施した。計画が自身の私的利害に深く関わる利害関連条件では、計画策定に参加する市民の代表者と自身との意見の類似性が計画受容の主たる規定因になるのに対して、計画が自身の利害と関連しない利害無関連条件では、市民の代表者の意見が反映される参加手続きの公正さが計画受容の主たる規定因になるとの仮説を検証するための実験を、日本において実施するとともに、オランダでの実施を準備した。
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