研究概要 |
本研究は,全校児童生徒数や教職員数がきわめて少ない小規模校を対象に,少人数であるがゆえの長所を最大限に生かし,短所と考えられてきた教育条件を克服するための教育方法を開発し,その教育効果を明らかにすることを目的としている。本研究3年目の平成22年度は,フィンランドのトゥルクおよびラウマの僻地校に加えて,ユバスキュラ郊外にも調査地を広げ,山村エリアの小規模校の視察をもとに,複式学級の教育方法の実際を取材するとともに,国際協同研究として最終的にどのようなゴールを目指すかを検討する実質的な議論を経験できた。 また,長野県内の山間僻地の小規模校においてオルタナティブ教育を導入するという目的に即し,信濃町の小中学校6校と栄村の4校,および塩尻市と辰野町にまたがる両小野地区の小中学校等の小中一貫の学校づくりに参画し,指導者としてオルタナティブ教育の観点からの提言ないし改革の必要性を説明してきた。具体的には,北欧諸国の教育実践の特徴を具体的に紹介しながら,学校の中に求められる真のゆとりや教員の主体性・独創性というものを学習者の目線に立って問い直すことを校内研修会や出前講座等で指導した。 さらに,フィンランドの教員養成や現職教育の領域において,オルタナティブ教育の理念をどのように普及させているのかを取材するなかで,フィンランドの教員養成の質保証に関わる重要な要件を学び取ることができた。それらの研究成果は,信州大学教育学研究論集等に論文として掲載された。
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