本研究では、最終年度の目標の一つに東アジア地域における学校ネットワークの実現可能性を探ることを掲げたが、東日本大震災によって期せずしてこの探求は加速された。研究会では、韓国、中国、モンゴル、ロシア、台湾及び日本の高校生と教師を中心に実際に東アジアでの持続可能性に関する学校ネットワーク事業を立ち上げることにより、同地域で暮らす若者や教師が自らの地域の持続可能性をめぐり相互に対話をするネットワーク創成のフィージビリティを検証した。その結果、東アジア諸国における課題、すなわち、コミュニケーション技能の制約や参加校による事務局運営の在り方、参加教員の多忙などが実現に向けた課題であることが明らかになった。ネットワーク事業に関する実証的な研究・調査の成果の一部は英訳され、海外の読者とも上記の課題等を共有することが適った。 以上の他、中間報告書に引き続き、ユネスコスクールの認証メカニズムに関しては中国及びインドを追記する形で最終的にまとめ、バルト海プロジェクトについては教員養成などの課題も含めて比較研究として論考を日本語及び英語で掲載し、大阪ASPnetやシュタイナー教育とユネスコスクールなどの個別の事例に関する論考も最終報告書に盛り込んだ。なお、最終報告書には放射線測定に関する国際共同事業の記録をニュースレター等の資料も含めて掲載した。最終報告書は100部印刷・製本し、関係者に配布すると同時に、ネット上でも公開し、海外も含めて情報の拡散と共有に努めた。
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