研究課題
本研究では、星団形成領域でTタウリ型星を大規模に探査することで過去の星形成の様子を明らかにし、赤外線から得られるデータと合わせて星団形成のメカニズムを明らかにすることを目指している。昨年度までに観測が終了したIC1396星団形成領域のデータ解析を行い、主に小質量の星団メンバー(Tタウリ型星)の年齢・質量や分布を調べた。この結果、この領域では2つの段階を経て星団メンバーが形成されたことが明らかになった(現在、論文投稿中)。すなわち、中心部で数百万年の比較的長期間に継続的な星団形成が起きた後に、最も質量の大きな星(IC1396電離領域の励起星)が誕生し、領域の周辺部の密度の高い分子雲を紫外線で電離圧縮し比較的短い期間で新しい星団メンバーをトリガー形成したことを明らかにした。また、本年度9月にハワイ大学2.2m望遠鏡とWFGS2を用いたペルセウス分子雲の西側の星団形成領域の観測なども予定通り行い、現在データ解析中である。星団形成において重要な役割を果たしている可能性の高い磁場を、本年度8月に南アフリカ天文台IRSF1.4m望遠鏡のSIRPOL赤外線偏光観測装置を用いて偏光観測で調べた。観測した領域はSerpens South分子雲で、付随する星団が星団形成の非常に初期段階にあると考えられているフィラメント状の分子雲で星団形成の初期条件を探るのに適した分子雲である。観測の結果、磁場は分子雲のメイン・フィラメント対して垂直に貫いており、磁場の影響下で星団形成が始まったことが明らかになった。この結果は学術雑誌に掲載が既に決定している。IC1396の結果とSerpens South分子雲の観測結果は、連帯研究者の中村氏の理論研究グループの提唱している星団形成モデルの予想と合致することも明らかになった。
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The Astrophysical Journal
巻: 733
巻: 716 ページ: 299-314